2019年に公開され大ヒットした映画「joker」を見てジョーカーのファンになった者も多いだろう。そんなジョーカーファンに欠かせない一冊を紹介する。
ジョーカーのオリジン(起源)ともいえる「キリングジョーク」は1988年に発行され、今でも人気のある作品だ。
この作品の何が素晴らしいのかと言えば、まず脚本である。特にラストが物議をかます程の衝撃を与える。
そして、カラーリング。自分が持っている本は完全版の方で作者自身がカラーリングした本だ。1988年に発行された本とはカラーリングや作画など多少の違いがあるとのことで、比べてみても面白いかもしれない。
ページ数は短く46ページだ。短いといって侮るななかれ。非常に濃厚な46ページだ。
一度読んだら、また読み直すだろう。自分は何度もラストを読み直した。このシーンは言葉ではうまく説明がつかず、絵を見て判断して欲しい。
そしてもう一編短編が掲載されている。タイトルは「罪なき市民」だ。作者が原作、ペン入れを担当した作品だ。かなり短い作品だが、なんとも言えない作品なので是非手に取って読んでいただきたい。
ついでにプロモーション動画も素晴らしいので時間ある方はどうぞ。
あらすじ(ネタバレ)
とある精神病院に二人の男がいた。
バットマンはジョーカーに言う。
「このままではお前が私を殺すか、私がお前を殺すか、遅かれ早かれな。ただ、そんなことになる前に一度話し合いをしておきたい」
「殺し合いを避ける努力はしておきたい。私はお前を殺したくないんだ」
バットマンの真摯な言葉は通じず、ジョーカーは偽物であった。
その頃、ジョーカーは脱走し古びた遊園地にいた。遊園地の支配人を殺し、改装を始める。
ジョーカーはある計画の為、ジムの家を訪問し、ジムの娘バーバラを銃で撃つ。バーバラは下半身を撃たれ動けない。ジョーカーはジムを誘拐し遊園地に連れて行く。
病院に運ばれたバーバラは二度と脚が動けなくなり、車椅子生活を余儀なくされる。バーバラは病院を訪れたバットマンにパパが拐われたことを伝える。
遊園地に連れてかれたジムは全裸にされ、ジョーカーの計画、狂気のジェットコースターに乗せてジムを狂わそうとする。
過去にジョーカーはコメディアンを目指していたが、全くウケず仕事がなかった。
身重の妻もジョーカーを励ましながら支えていた。子供が産まれる前に金が欲しいジョーカーはある犯罪計画に加担する。
それは過去に働いてた化学工場に仲間と共に忍び込み、金を盗もうと算段していた。
しかし、決行日に妻が哺乳瓶用の電熱器で感電死してしまう。警察から百万分の一の確率の不幸な事件だと告げられる。
妻が死んで強盗する理由がなくなったジョーカーは計画を抜けようとするが、仲間が許してくれず、嫌々参加する羽目になる。
工場に忍び込んだジョーカー達は警備員に見つかり、仲間が撃たれてなくなってしまう。
そこにバットマンが登場し、ジョーカーは逃げる為、薬品タンクに身を投げる。這い上がったジョーカーは肌が白く漂白され、緑の髪になってしまった自分の姿を見て狂ってしまう。

ジムの乗ったジェットコースターは撃たれて裸にされたバーバラの写真が壁に貼られていた。ジムは娘の苦しんでる姿を見て気が狂いそうになる。
バットマンが現場に到着する。全裸で檻に入れられたジムを救出する。
「私は大丈夫だ!奴を追ってくれ!奴を捕らえたい。それも法規に従ってだ!」
ジムはバットマンに告げる。
バットマンは逃げたジョーカーを追いかけ、ジョーカーの用意したアトラクションに入る。そこには色々な罠が仕掛けられており、バットマンとジョーカーの戦いが始まる。
バットマンが追い詰め、ジョーカーは銃を取り出すが中は空だった。
バットマンはジョーカーを傷つけたくない為、真摯に諭す。
「今夜が最後のチャンスだ」
「どんな不幸がお前の人生を狂わせたか知らない。だがもし、私がその場にいればお前の力になれたかもしれない。お前の助けに」
「自分を追い詰めるな。苦しみを一人で背負い込むな。我々が殺し合う理由などない」
ジョーカーはこう返答する。
「すまねぇけど…、ダメだ。遅いよ。遅すぎるぜ…なんか笑えるよな…いつか聞いたジョークみてぇだ…」
「とある精神病院に二人の男がいた…ある晩二人はもうこんな場所にいられないと腹をくくった。脱走する事にしたんだ。屋上に登ると夜の街、自由の世界が広がっていた。最初の奴は難なく飛んで隣の建物に移った。もう一人の奴は、どうしても飛べなかった。落ちるのが怖かったんだ。その時、最初の奴が閃いた。”俺は懐中電灯を持っている!この光で橋を掛けてやるから、歩いて渡ってこい!”二人目の奴が怒鳴り返した。”てめぇ、オレがイカれてるとでも思ってんのか!どうせ途中でスイッチ切っちまうつもりだろ”」
ジョーカーは泣きながら笑う。
バットマンも笑う。バットマンは笑いながらジョーカーの首に手を伸ばす。後方からパトカーがサイレンを鳴らしながらやってくる。
終

レビュー
ジョーカーのジョークがバットマンとの二人の関係性を示していて、なんとも切なくなる。
ジョーカーは犯罪を何度も犯してるので、もうそちら側に行けないのだ。ジョーカーにとっての救いはバットマンに殺される事なんだと思う。バットマンもそれを悟り、ジョーカーのジョークに笑ってやる。タイトルの伏線を回収する。これは是非、漫画で読んで頂きたいのだが、二人の足元には水溜りがあり、パトカーのライトが反射して光の道が出来ている。しかし、光の道は途中で途切れている。素晴らしい演出である。
ちなみに冒頭、漫画の一ページニコマ目に水溜りがあり、そのシーンは光の道が途切れてない。



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